金融機関は顧客のためになっていないと金融庁が断言?

金融行政が大きな転機を迎えている。金融庁はこれまで不良債権処理など「銀行の健全性」を重視していたが、「企業と経済の成長と資産形成」を最大の目標として打ち出した。改革を進める金融庁・森信親長官は何を目指すのか。金融機関や顧客はどのように変わっていくべきか。





 「これを読んで、思わず苦笑しましたよ」。ある独立系投資信託会社の首脳が示した文章は、金融庁が2016年8月に出した2017年度の税制改正要望だった。そこにはこう書かれていた。

 「金融機関が真に顧客の利益になる商品・サービスを提供していない現状を、改める必要がある」

 銀行や証券会社の営業の現場は目を疑ったに違いない。監督官庁である金融庁から、今の金融機関の営業では、顧客の利益につながらないと断言されたに等しいからだ。実際、この独立系投信会社の首脳は、地方銀行の担当者などと話していて、首をかしげることが多かった。自社の投信を窓口で販売してもらおうと交渉に行っても、たいがい答えはNo。その理由が「これまで関係のある、大手銀行傘下の投信会社の商品を販売しなければいけないから」だった。

 この投信が個人顧客の利益につながっていればいいが、現実は違っていた。2016年10月までの株式相場低迷で、購入した顧客の大半は含み損を抱えていたという。個人の顧客は、毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法と呼ばれる手法で、コツコツ投信を購入するのが、結果的に利益につながることが多い。だが現実は、販売手数料の確保を優先する金融機関が、設定直後に最低でも100万円程度、一括での投信購入を勧める。新しい商品が出るたびに、これを繰り返すから、個人顧客は勧められるまま、「回転売買」の連鎖にはまる。

 こうした流れを断ち切るために、金融庁は動き出した。その代表例が、2016年10月に打ち出した金融行政方針の中で掲げた「フィデューシャリー・デューティー」だ。金融機関に対し、もっと顧客本位の業務運営をせよと勧告した。

 行き過ぎたノルマ営業をやめ、顧客の利益を最優先する営業への転換を金融機関に求めている。森信親長官の基本方針である「顧客本位の業務運営」が強く反映されている。こうした金融庁の方針が浸透すれば、無理な投信販売は減る見込みで、代わりに増えそうなのが、長い時間をかけ、コツコツと資産を増やしていく投資だ。

 顧客の利益を重視せよという、金融庁の理念が浸透し、金融機関の営業現場は変わるか。それが個人顧客の利益拡大につながるか。

引用元
「金融機関の営業は、顧客の利益になってない」



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