マクドナルドでの注文・受取の待ち時間ゼロに?

今夏から順次、全店でクレジットカードを使えるようにするほか、主要な交通系電子マネーにも対応すると発表した、日本マクドナルドに関する新たなニュース。

米マクドナルドはスマートフォンで注文と支払いを済ませ、店頭で商品を受け取る「モバイルオーダー&ペイ」を全米の店舗のみならず、日本を含む世界の店舗に導入する計画を発表した。

今や米国のファストフード業界、外食業界ではモバイルオーダー&ペイは常識化している。スターバックスが導入しているほか、一部のコンビニエンスストアでも導入されており、ファストフードをモバイルオーダーで注文できるようになっている。

米マクドナルドが導入するモバイルオーダー&ペイは、ランチ時にスマホのマクドナルドのアプリから注文しておけば、店頭では待たずに商品を受け取ることができる仕組み。決済もクレジットカードか現金かを選べる。現金の場合はその場で支払いを済ませるだけだ。あとは商品の受け取りカウンターで注文した商品をもらうだけ。ランチ時の行列に並ばず済む。せっかちな人には、たまらなくうれしい仕組みである。

それが日本にも導入されるという。「なんだ、スマホで注文ができるようになるだけじゃん」と言うなかれ。指定した注文時間に商品を製造しておくという仕組みはオペレーションの改革を伴うものであり、それほど簡単ではない。

今回のシステム導入には布石があった。マクドナルドは米国で店頭にキオスク端末を導入していた。キオスク端末は日本でもごく一部の店舗に導入しているが、大画面のメニューをタッチしながら注文ができる端末だ。

米国ではコミュニケーションがうまくとれない消費者向けとも、人件費削減のための対策ともいわれ、対話式で画面をタッチして商品を選び、最終的に端末で決済を選ぶ仕組みになっている。

マクドナルドは恐らくキヨスク端末でノウハウを蓄積してきたのだろう。この延長線上で大画面のキヨスク端末からスマホ用のアプリを開発して、店舗のオペレーションを改革すれば導入できる。

米国ではいまやファストフード業界のみならず、コンビニのレジ周りにあるピザやサンドウィッチなど一部の商品で、オーダー&ペイの仕組みを導入し待ち時間なしの販売戦略をとっているチェーンも少なくないという。コンビニチェーン側としても顧客満足度の向上もあるが、ファストフードチェーンが次から次へと導入するため、競争上やむを得ず導入している格好だろう。

実際、このオーダー&ペイの効果は小さくない。米スターバックスはオーダー&ペイの売上高比率が15年の導入以来、6%に達している。また一部の店舗でピーク時には売上高の20%を超える。水は低きに、便利なところへと流れるのだ。

日本ではどういう反応だろうか。マクドナルドのオーダー&ペイについて流通関係者は「どれだけ消費者のためになるかわからない」と批判的な見方が大勢を占めるようだ。

というのも、日本ではスマホを使えない、使わない消費者がたくさんいるし、(民間最終消費に占める)クレジットカードでの決済比率すら15~16%にとどまっているのが現状だからだ。外食業界では多少の反応はあるようだが、コンビニの幹部らはほとんど無関心な状態である。

確かに、先述した通り、「マクドナルドでスマホによる注文ができるようになるだけ」の話に感じられなくもない。しかし、モバイルオーダー&ペイが導入された結果、もしかすると、ランチ時に並ぶのが面倒で、マクドナルドでランチを買うのを諦めていた人が、マックを食べる頻度が高まるかもしれない。

また、小さな子どもを連れた主婦が「並ばずに買え、商品を受け取れるなら便利」とマクドナルドで買うかもしれない。潜在的な「販売機会の損失」が解消される意味は小さくないのだ。そうなれば、必然的に、コンビニや競合の外食店、食品スーパーなどから顧客を奪っていく可能性がある。

もはや日本でも、コンビニはファストフードチェーンから顧客を奪わなければ成長できないし、ファストフードチェーンもコンビニから顧客を引き戻さなければ成長できない時代なのだ。「ミスド対コンビニ」の“ドーナツ戦争”は、その好例といえるだろう。

店舗の価値は商品だけでもなく、サービスや、利便性だけでもない。店舗トータルで醸成されるものである。商品だけでも、サービスだけでも、利便性だけでもダメなのである。

ただ、スターバックスの一部店舗ではモバイルオーダー&ペイの利用者があまりに増加しており、オペレーションノウハウの蓄積不足もあってか、逆に「受け取りに混雑を招いてしまった」という笑えない話もある。まだまだ改善の余地はありそうだ。

翻って日本の流通業は、顧客満足度向上の面では旧態依然としている。顧客が棚から商品を運び、レジで決済するという方式に変化がないのである。スターバックスやマクドナルドが考えているIT化による顧客満足度の向上策という試みは、その気配すら見えない。IT化もお印程度に取り組んでいるところがほとんどで、「本気でやる気があるのか」と思ってしまう。

時期尚早と考えているのであろうか。それとも周囲の様子をうかがっているのだろうか。着実に「新しい波」は海外から押し寄せている。たとえ、失敗を繰り返すことになっても、「先行してものにしていく」ことを考えるべきなのではないだろうか。

引用元
マクドナルド「待ち時間ゼロ」が日本の流通・外食に激震


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