不動産仲介業者はもっとつらい?

帝国データバンクが発表した2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産動向調査で、同年度の倒産件数は前年度比24%増となる93件だったことが分かった。

帝国データバンクが公表したのは「不動産代理・仲介業者の倒産動向調査(2016
年度)」を。同社では不動産代理・仲介業者の倒産動向に関する調査は初めてという。

賃貸向けアパートの供給過多が懸念される中、流通を担う不動産代理・仲介業者の事業環境も厳しくなっている。首都圏を中心に競争が激しくなり、体力の少ない者から脱落する消耗戦の様相を呈してきている。

調査によると、2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産件数は3年ぶりの増加となっている。全業種の倒産件数はリーマン・ショック以降、8年連続で減少しているが、不動産代理・仲介業者の倒産件数はリーマン・ショック後も高止まりの状況が続いている。2013年度の106件を境に2015年度には一旦75件まで低下していたが、今回の調査では再び増加を示し、事業環境の厳しさが浮かび上がる。

また、2016年度の負債総額は67億1400万円となっており、こちらも3年ぶりの増加となっている。増加はしているものの、2000年度からの推移をみれば、100億円以上の負債総額を計上している年度も多く、こちらは低水準で推移していると言える。

不動産代理・仲介業者では負債総額5000万円未満の小規模倒産が増加している。2016年度は小規模倒産が68件と、全倒産件数の7割を超す。インターネットでの物件検索が容易になった事で、「街の不動産屋」の情報優位性が低下している事が原因と見られる。

不動産代理・仲介業者の事業環境が厳しくなっている事を物語るデータであるが、その要因の一つには賃貸用物件の供給過多があると見られる。

国土交通省の「住宅着工統計」によると、2016年度の新築賃貸向け住宅の着工数は43万戸となっており、全住宅着工件数の45%近くを占める。件数は3年連続の増加となっており、全住宅着工件数に占める比率は2000年度以降では最高の水準である。

賃貸向け住宅の増加は様々な思惑に支えられている。2015年に相続税の法定控除が引き下げられた事を受け、節税を狙った賃貸向け住宅の建設が増加している。また、金融機関も低金利下で運用難が続く中、不動産向け融資へ力を入れる。日銀の調べによると、2016年の不動産向け貸出残高は過去最高を記録しており、そのけん引役が個人向けの住宅融資であった。

賃貸向け住宅の供給はこうした思惑に支えられており、需要を無視した建設が続いているとの指摘がある。不動産代理・仲介業者も自社で扱う物件を契約してもらおうと熾烈な競争を続けている。特に首都圏や近畿圏には賃貸向け物件が集中しており、その傾向が顕著であるとされる。冒頭の調査では倒産件数は関東が52件、近畿が26件と、全倒産件数の8割強をこの2地域で占めた。

節税への関心の高まりや金融機関の運用難といった周辺環境は変わらない中、賃貸向け物件の供給は今後も高い水準で推移していく可能性がある。そうなると、不動産代理・仲介業者の競争はますます激しくなり、体力の少ない不動産屋やインターネットの活用に遅れた不動産屋から脱落していく消耗戦は続いていくだろう。

引用元
不動産代理・仲介業者「倒産件数」前年比24%増 2016年度


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